お腹を凹めて胸を張ると調子悪い

テレビでやってた良い姿勢をすると調子が悪い

「お腹を凹めて、肩を後ろに引くようにしてるんですけど、これで姿勢大丈夫ですか?」とTさん。40代男性。

「最近メタボ腹気味なもんで、TVでやってた良い姿勢やってみてるんですけど。何か疲れる気がするんですよね」そう話しながら、お腹を凹めて、肩を後ろに引くTさん。

凹めて押し上げたお腹に突き上げられるように肩がいきみ上り、息を吸ったまま停止してるような身体の状態。

これでは頭に血が上りっぱなしで、興奮、緊張状態。心身が落ち着かなくなり、疲れやすく不調になるのも無理はありません。当然、背骨の生理的湾曲も崩れたその姿に即、「ダメです」と申し上げました。

ご本人もどうも調子が良くない自覚があったので、話はスムーズに進みましたが、この様な不自然で、身体の負担になる様な姿勢をとっても、全く自覚のない方も多くいます。

横隔膜、姿勢の影響

左:不自然に圧迫され、いきみ上がった肩に引き挙げられた横隔膜(Tさんの状態)
右:自然な姿勢、横隔膜状態。

不自然にお腹を凹ませる姿勢は、内臓の圧迫と呼吸への悪影響

姿勢の誤認識による問題の中でも「お腹の出っ張り」を気にされる方は、とても多くいます。

適度に引き締まった状態は体幹の支えとして大切な役割を担いますが、お腹(体幹)が日常の中で、自然に使われて引き締まっているのではなく、内臓を圧迫する様に凹めているのとでは話は全く違ってきます。

体重増加でお腹が出てきたのか、姿勢の崩れでお腹が出てきたのかにより、とるべき対策も違ってきます。

Tさんの場合は、元々の体つきや筋肉もしっかりしており、働き盛りの元気なタイプの方なので、お腹の出っ張りを気にしなければ、普通にしていても特に問題のない方です。

Tさんの場合は、頭部の置き方に問題があったため、その部分の認識修正を行い、現状に無理のない範囲での良い姿勢を指導しました。

パソコン作業中の不良姿勢が積み重なり、姿勢が崩れていたのですが、認識修正後、無理なくお腹がおさまった感覚に目を輝かせながら「普段の身体の使い方ってことなんですね〜腹のせいじゃなかったのか(笑)」

姿勢の崩れも、どこが修正ポイントになるかも百人百通り、それぞれに違いがあります。たまたま自分の身体にあった情報と出会えた場合は良いのですが、合わないものを長期的に実践した場合、逆効果、身体へのダメージにもなります。

鏡に映る姿、形だけでなく、自分自身の感覚、快、不快といった内側の声に耳を傾けることは、心身の健康に最も重要なことです。

力み血圧が上がると「元気になった」と錯覚しやすい

冒頭の姿勢のとりかたで、錯覚しやすいのが、「やる気になった感じがする」「元気な感じがする」というものです。

筋トレの記事でも何度か書いていますが、華奢な女性や、筋力の弱い男性、フニャフニャして不安定な身体つきで元気がない方が実践した場合、こうした姿勢や筋トレは、血圧が上がり元気になった様な気になります。しかし、

「健康で元気がある事」と、不自然な力みや呼吸による血圧上昇からの「ハイテンション」とは別ものです。

前者は持続力、集中力と同時に落ち着きがありますが、後者は気分の上がり下がりが激しく、疲れやすいため、必要以上の肉食や過食が起きたり、血糖値を上げる缶コーヒー、ジュース、チョコレートなど菓子類を手放せない方が多く見られます。

また、冒頭のお腹を凹めて肩を引くという姿勢のとりかたは、実際は骨格の負担となりやすいものです。

しかし、背中が丸まり、頭がもたげた息苦しさや、年々出てくるお腹、崩れていく姿勢など、セルフイメージの低下に比べたら、身体への負担は気にならない様なものなのかも知れません。

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